春うらら

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春うらら

  • 2019.04.15

     4月も半ばを過ぎました。見事に満開となった桜(今年の桜は実に見事でした。写真1)も散り、少しずつ葉桜となっています。そして日増しに新緑の季節となってきました。道端の草や花も元気な姿をみせてくれています。4月に新しい生活をスタートさせた人々も、ようやく日々の生活に慣れてこられたことでしょう。

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               写真1 近くの公園の満開の桜

     さて4月19日が「食育の日」ということを御存知でしょうか?実は私は知りませんでした。平成17年に食品基本法が成立し、毎月19日を食育の日と定めています。また419を語呂合わせで食育とし、4月19日という日が強調されています。その根本的な精神は内閣府の作成したパンフレットに書かれています(図1)。食育とは「生きる上での基本であって知育、徳育・体育の基礎となるべきもの」とパンフレットにはあります。ともすれば私達の食生活は不規則になりがちです。例えば朝食を食べない人がいるという問題がそれであります。朝食を食べない人は男女とも20才台の人が最も多いとのことです(図2)。若い働き盛りの人が朝食を食べないということは大きな問題です。朝ご飯はしっかりと食べることが大切です(図3)。食はすべての生活の基本であり、食育の日4月19日には日々の食事を顧みましょう。これは本当に大切なことであります。

     昔から春は「春眠暁を覚えず」と言われています。これは「春の夜は気候もよいため、朝になっても何時までも寝てしまう」という意味です。ところが現代社会は何しろストレス社会。たとえ春という良い季節であっても寝られない人、つまり不眠を訴える人は多くいるのが現代社会の現状です。厚生労働省が公表している傷病別の年次推移表を見ますと、不眠症の患者さんは年ごとに増加していることが示されています(図4)。インテージテクノスフィアの調査(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2016/005134.php)によりますと、成人の30%以上が不眠症状を持っていること、6~10%が不眠症に罹患しているとのことです。さらに同調査は睡眠薬の処方率は、40から44歳で4.6%、45から49歳で5.2%、50から54歳で6.3%、65から69歳で9.4%と報告しています。つまり高齢になるとともに睡眠薬を服用している人が多くなっているのです。しかも、いったん睡眠薬の服用をはじめると服用を中止することが困難になってしまうことも分かっています。3年経過しても5.7%の人が睡眠薬の服用を継続しているという調査もあります(http://reports.qlifepro.com/20adherence/adherence-to-prescribed-drugs/)。加えて、

     高齢者では睡眠薬の副作用のため、ふらつき・転倒そして骨折がおこることも危惧されます。さらに睡眠薬にはリバウンド(睡眠薬の中止で以前より強い不眠が起こること)、退薬症候(睡眠薬の中止で不安、イライラ感、頭痛などが出現すること)が発症することがあります。なかなか厄介ないろいろな問題を睡眠薬は持っているのです。

     このような睡眠薬に関する問題の現状を踏まえ、厚生労働省も対応策を講じてきました。例えば「睡眠薬の適正な使用と休薬のためのガイドライン(図5)」(平成24年)が作成され、「睡眠障害対処12の指針(平成26年)」が公表されました。さらに平成30年の保険診療報酬の改正では、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を1年以上処方していると減算される(つまり医療機関の減収となる)ことなどが決められました。結構、この改正は医療機関にはインパクトがありました。それにしても漫然と睡眠薬を処方し、患者さんが服用し続けるというのは何としても避けねばなりません。そこで睡眠薬ではなく、他に何か良い不眠対策がないものかと少し探してみました。すると平成24年に示された「睡眠薬の適正な使用と休薬のためのガイドライン」(図5)に示された「不眠症の認知行動療法」に目が留まりました。図5には不眠症のための認知行動療法(以下、CBTI:Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)が記載されています。もっともCBTIとは分からない概念と思います。そこでCBTIを理解するために、まずは一般の認知行動療法(以下、CBT)について紹介します。

     CBTについては、まだ日本では馴染みが薄く知られていないのが現状でしょう。もともとCBTは精神科で考え出された治療法です。アメリカで1960年代にベック博士という精神科医が、うつ病の治療のために考えた治療法であります。CBTを一言で分かりやすく説明するのは難しいところです。色々な文献を読み回りますと難解な記載・説明もあり、また平易に解説しているものもあります。また日本認知療法・認知行動療法学会(http://jact.umin.jp/introduction/)という学会が20年程前に設立されており、同学会のホームページを閲覧するとCBTに対する理解が比較的よく進みます。色々な解説書がありますが今回、分かり易く私なりの言葉でCBTを語ってみたいと思います。例えば我々が何か事件に直面した時、身についた自分の考え・感情に基づいて事件への受け止め方をするものです。このとき自分の身についた考え方がユニーク(大方の人とは異なっているという意味)であれば、本人にとっては事件がストレスになってしまうことでしょう。これは本人のメンタル面ではよいことではありません。本人の考え方・受け止め方というものは、感情や心に大きな影響を及ぼしてしまうからです。そこで自分の考え方を変え、受け止め方を柔軟にしてストレスを避けよう、この方法がCBTの骨子であります。つまり事件の受け止め方を変えること、そして考え方を幾つか持ち柔軟に対応し、感情としてのストレスを少なくしようという方法なのです。安直な話となってしまいましたが、CBTを知っておくことは必要かと思います。

     これで無理にでもCBTを納得していただいたとして、ではCBTIについてです。例えば「今日もきっと寝られない」という不快な考え(誤った考え)を持っている人に対し、「眠くなるまで床につかない。寝られない時間は与えられた自分の時間」などと異なる考え方を呈示し、柔軟に対応してストレス・不安を軽減して不眠を回避しよう、これがCBTIです。米国においてCBTIは、不眠症に対する標準治療に位置づけられているとのことです。これに対し日本では不眠症というとすぐに睡眠薬に頼るものです。これは不適切であります。不眠症に対し、今後は積極的にCBTIによる治療を採りいれることが必要です。

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    図1 内閣府食育推進室などによるパンフレットからの一部抜粋

    http://www.maff.go.jp/kinki/syouhi/seikatu/iken/pdf/syoku_suisin.pdf

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    図2 朝の欠食率 農林水産省のパンフレットからの一部引用

    http://www.maff.go.jp/kinki/syouhi/seikatu/iken/pdf/syoku_suisin.pdf#search=%27%E9%A3%9F%E8%82%B2%E3%81%AE%E6%97%A5+%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C+%E6%B3%95%E5%BE%8B%27

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    図3 朝ごはんをしっかり食べましょう

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    図4 厚生労働省:傷病別年次推移表から数字の引用

    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/02syoubyo/1-1b4.html

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    図5 眠症の治療アルゴリズム 睡眠薬の適正な使用と休薬のためのガイドラインから

    平成24度厚労働科学研究・障害者対策総合研究事業

    http://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf

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