4月のスタート

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4月のスタート

  • 2018.04.04

     いよいよ4月、新年度がスタートしました。毎年のように思うのですが、進級、入学、卒業、入社また引退などを迎える大勢の人がおられます。そして皆それぞれの新しい道を少し緊張の気持ちを持ちながら歩みはじめられるわけです。初めのうちは慣れない生活に対し、それなりにストレスを感じることと思います。また無理をし、つい体調を崩すことも懸念されます。あまり緊張することなく適度に休息をとり、一日も早く新生活に馴染むことが大切であると思います。

     さて、私自身といえば4月に入っても特に変わらない臨床家の日々を過ごしています。もちろん諸事万端多忙を極めることもあるので、時には休養が必要なこともあります。そんなわけで先日、生まれてはじめて神戸空港を利用し(写真1、2)、旅行に出かけ体調の維持回復に努めました。神戸の町、そして山と海を空から直接展望することは人生初のドラマチックな体験でした。

     

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    写真1 機内でのGoogle位置情報  写真2 機内から見た神戸市長田区付近の眺望

     

     さて休養のあと診療所に戻ると様々な業務が待ち受けていました。前回のブログにも書いた通り、2年に1度の医療保険制度の改定が4月からはじまっています。それに対する準備をし、新制度に従った対応をしている日々です。医師会から医科診療報酬点数表という書物が送付されてきました(写真3)。これはA4サイズ、厚さ3センチで845ページに及び、まるで電話帳並みの大型書物です。2、3日で目を通すことは到底不可能なため、要点だけをかいつまんで読んでいる次第です。

     しかし、このような時こそ臨床家は腰を据えて勉学に励むべきだと考えています。そんなわけで時間を見つけ机に向かい、また講演会などに顔を出すように心がけている日々です。

     今回は小児の片頭痛について考えてみました。片頭痛を考えるときには、まず頭痛の分類・種類について知ることが必要です。それには国際頭痛分類第3版(2013年)が最も参考になります。とにかく、これが第一歩であります。その詳細については多岐にわたって専門的なので割愛します(日本頭痛学会http://www.jhsnet.org/guideline.htmlで閲覧可能)。そこで基本的なことだけを紹介しますと頭痛は一次性頭痛 と二次性頭痛に分類されています(表1)。片頭痛、そして頭痛の診断には先ずは国際頭痛分類が有用なのです。一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛があり多くの子どもさんの患者さんがおられるものと考えられます。二つの違ったタイプの頭痛についてただしく鑑別診断をすることが大切なのです。診断にあたっては繰り返し臨床症状について検討することが必要です(なお二次性頭痛は一次性頭痛よりも少ないので今回は省略します)。一般的な小児科の外来において時々頭痛を訴える子どもさんに遭遇することはよくあります。その場合、国際頭痛分類に従い、片頭痛、緊張型頭痛の鑑別診断がなされるべきです。そして治療が求められます。

     では子どもさんの頭痛の人はどのくらいいるのでしょうか。その頻度については片頭痛および緊張性頭痛では、それぞれ3.8~13.5%、0.7%~27.6%とされています。つまり子どもさんで頭痛を訴える人は多いのです。また片頭痛と緊張性頭痛では片頭痛のほうがより少ないのです。

     次に片頭痛、緊張型頭痛の違いについてです。両者を簡単にまとめますと表2 (山中岳先生の論文からの引用)のようになります。本表をもとにして片頭痛と緊張性頭痛の特徴のあらましを紹介したいと思います。

     まず片頭痛です。その発作は通常4~72時間続き、片側の拍動性頭痛が特徴です。ただし非拍動性の片頭痛、両側性の片頭痛もあります(なかなか複雑な病気というわけです)。痛みのために日常生活に支障をきたし、また階段の昇降など日常的な動作によって痛みが増強することが特徴です。持続時間が短いのですが、突発的な痛みのため動けなくなってしまう子どもさんがいます。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、片頭痛発作中は感覚過敏となって、普段は気にならないような光、音、臭いを不快と感じる方が多いようです。頻度は2週間から月に1回程度起こるとされています。家庭でできる対処法は冷やすこと、暗い部屋での安静です。

     次に緊張型頭痛です。頭痛は30分から7日続き、圧迫されるような、あるいは締めつけられるような非拍動性の頭痛で、多くは両側性です。吐き気や嘔吐は強くありません。頭痛の程度は軽度~中等度で、頭痛のために日常生活に支障が出ることはあっても寝込んでしまうようなことはありません。これからわかるように緊張型頭痛は持続時間が長いものの、日常生活には困らないことは多いとされています。頻度はほぼ毎日、月に15日程度起こるとされています。家庭でできる対処法は温めること、入浴と休養です。

     以上が片頭痛と緊張性頭痛の特徴についてのあらましです。家庭でできる対処法は全く正反対であり、両者を正しく診断することが大切であることが示されています。また(厄介なことに)緊張型頭痛と片頭痛を合併している子どもさんがいるということにも留意する必要があります。

     最後に初めに言いましたように子どもさん片頭痛にしぼってさらに紹介します。

     まず子どもさんの片頭痛の特徴として大人に比べて持続時間が短いこと(子どもさんは4時間以内が多いこと、大人は4~72時間)、大人よりは子どもさんは軽症が多いこと、痛みが軽度なこと、また臨床症状が様々なことなどが挙げられます。また有病率は子どもさんで3から23%とされています。これに対し、成人の有病率は8%前後とされており、子どもの片頭痛は大人より多いという特徴があります。

     片頭痛の子どもさんに対する治療です。治療には非薬物療法と薬物療法があります。非薬物療法を具体的にいいますと、日常生活において頭痛の誘因となるストレス、寝不足、運動不足、過労などを避けることなどが挙げられます。非薬物療法により自然治癒ないし軽快しない時には薬物療法を考えます。特に頭痛が2時間以上持続し、本人・家族の不安が強い時には急性期の薬剤(イブプロフェンとアセトアミノフェン)の処方がなされます。また予防薬が考慮されることもあります。

     以上からお分かりいただけると思いますが、子どもさんの頭痛の対応はひとすじ縄ではいかないことがあります。そのためガイドラインも参照にされます。小児心身医学会では、繰り返す子どもの痛みの対応ガイドライン(図1)を示しております。これを手元において参考とし、小児科医は片頭痛、緊張性頭痛をはじめとする頭痛へ対処していくことが肝要です。頭痛は子どもさんでは多い疾患なのです。しかし、子どもさんは上手く頭痛の訴えを伝えられないこと、痛みのために登校不能に陥ることもあります。この点からも小児科では頭痛に対する適切な対応をしていくことが必要です。

     

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    写真3 医科診療報酬点数表

     

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    表1 頭痛の分類

    国際頭痛分類第3版 Medical.eisai.jp のホームページからの引用

    https://medical.eisai.jp/products/maxalt/guidance/class.html

     

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    表2 片頭痛と緊張型頭痛の違い

    日本小児科学会雑誌 第122巻第3号596ページ

    (山中岳先生の論文から引用させていただきました)

     

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    図1 日本小児心身医学会編集

    ISBN: 978-4-524-26001-0 南江堂

     

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