3月も半ばを過ぎ

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3月も半ばを過ぎ

  • 2018.03.19

    今年の冬はまことに寒いものでした。そして記録的なインフルエンザの大流行がみられ、二月は当院にも大変多くのインフルエンザ患者さんが来院されました。図1に示したようにこの3年間でインフルエンザ患者さんの報告数は最高となりました(国立感染症研究所感染症疫学センターによる)。当院もインフルエンザの患者さんの対応に追われ、本ブログを更新する時間的余裕もありませんでした。少しはブログの筆を進めていたのですが、時間的に追い詰められ中断を余儀なくされました。というわけで2月はついにブログをアップ出来ず、日の目を見ずに御蔵入りとなってしまった原稿も幾つかあります。文章の筍が過ぎてしまったのでアップ出来なかったというわけです。また私自身も過労のためダウンしそうになり、さらに3月に入ってからは花粉症のシーズンがやってきました。私自身も鼻水、また目が痒く何をするにしても根気がなくなってしまう状況です。それでも久しぶりに今、机に向かい医学書を読み文章を書いています。

     

     新聞を読んでいると少し嬉しいニュースが目につきました。それは神戸港(写真1)のコンテナ貨物取扱量が震災前を上回り、過去最高の量になったという報道です。記事によりますと2017年において神戸港で取り扱ったコンテナ貨物量は292万個でありました。阪神淡路大震災による港湾の損傷のため一時的に低下したコンテナ貨物量は年ごとに増加し、開港150年目という祝うべき年に偉業が達成できたことになります(図2)。神戸の一市民として大変喜ばしいことです。しかし、それでも世界の主な港と比較すると、神戸の年間取扱量は第55位とまだ下位に甘んじています。国際的には格差が広がっているというのが現状なのです。今後の神戸港の益々の発展を願うばかりです。

     

     さて、はじめに書いたように今年はインフルエンザの患者さんが大変多く来院されました。厚生省の報告書をみてもここ数年において発症報告数は最高値に達しました(図1)。家族や職場において誰かがインフルエンザに罹ると心理的にパニックになるものです。「大変だ、自分もインフルに罹るかもしれない!!」という不安です。ところが実際には一家全員あるいは職場の誰もが皆インフルエンザに罹るということは、それほど多くはないと私自身は感じています。インフルエンザで一家全滅ということも、たしかにあり得ます。それ故「うつるのではないか!」という不安の心情は理解できますが、実際には誰もがインフルエンザに罹らないことも事実です。これは一体どうしてでしょうか。

    このことを明らかにしたいと考え、今回はRo(R naught)、日本語では基本再生産数(basic reproduction number)と訳されていますが、この考え方について検討してみました。

    Roとは聞きなれない言葉でしょう。Roをひとことで簡単に説明しますと「1人の感染者の人が、何人の感染者を再生産するか」ということです。ですからRoとは基本再生産数と翻訳されているのです。インフルエンザで例えていうと「1人のインフルエンザ患者さんが何人のインフルエンザ患者さんを生み出すか」というのがRoという数字なのです。ですからRoが5ということになれば、1人が5人のインフルエンザ感染者を出すということになります。元々Roは人口学で生まれた考え方であり、「1人の女性が何人の女児を生むか」というもので基本再生産数といわれています。これでお分かりいただけたと思いますが、Roとは早い話1人の人(感染者)が何人の人(感染者)を生み出すかということなのです。そしてRo>1ならば人口増加の傾向があり、Ro<1ならば人口減少の傾向があるとされています。

    ではRoの計算法ですが、かなり正直なところ大変高度で複雑であります。詳しくは専門書を参照していただくとして、多くの研究機関で様々な分析検討が試みられています。それらの結果によりますとインフルエンザのRoは2ないし3と報告されています。つまり1人のインフルエンザの感染者は、2ないし3人のインフルエンザ感染者を生み出すわけです。一般にある地域においてRoが1以上であるというときは感染が続くとされ、反対にRoが1未満であると感染が収束していくとされています。

    さらに興味のあることとして、その他の代表的な感染症におけるRoは高いということです。Roの高い順に並べますと麻疹・百日咳16~21、おたふく11~14、水痘8~10、風疹7~9とされています(国立感染症研究所による)。つまりインフルエンザよりも百日咳、おたふく、水痘、風疹のほうが感染する力が強いというわけです。しかし麻疹、百日咳、おたふく、水痘、風疹には予防接種があるため、Roが高いにもかかわらず実際には発症が抑制されています。むしろRoの低いインフルエンザについては予防接種効果が低いので、恐れられる状態となっています。いわば予防接種のおかげで、本来ならば恐ろしい麻疹や百日咳よりもインフルエンザの方が恐ろしいという錯覚が生じているわけです。

    以上から分かるようにインフルエンザのRoは低いので過剰に恐れることはありません。しかし抵抗力や体力のない人、つまり高齢者や子どもさんでは次々と感染していってしまいます。やはり無理をせずに十分に休養をとり、ワクチン接種を受けることが重要と思います。

     

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    図1 インフルエンザ流行レベルマップ 

    国立感染症研究所感染症疫学センターのホームページからの引用

     

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    写真1 夜の神戸港

     

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    図2 神戸港のコンテナ貨物取扱量の変遷

    ひょうご経済プラスから引用させていただきました

    https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201801/p1_0010926182.shtml

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