1月半ば

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1月半ば

  • 2018.01.18

     

    あっという間に松の内も過ぎ、早いもので1月も半ばを過ぎました。神戸市にも厳寒の日が来ています。それでも六甲山が少し白い薄化粧をするだけの状況です(写真1)。大雪で苦労されている北国の方々には本当に御気の毒で申し訳ありませんが……。

    そんな中、1月の強い冬風が吹く街に出かけてみました。華やかな正月の風景に、あまり接することはありませんでした。ただ少し面白い風景として(正月には無縁の風景ですが)神戸港内にひっそりと停泊している潜水艦を見つけました(写真2)。小型の黒塗りの艦は休養中という佇まいでした。国外情勢が落ち着かない現在、有事の際には出動となる潜水艦かもしれません。そんなことのない平和な日々が続くことを祈るばかりです。次に目にしたものは大阪での初春芝居興行の風景です。正月は初芝居として賑やかに興行されるものです。東京では3つの座館で華やかに歌舞伎興行が打たれていますが、残念ながら大阪ではひとつの興行だけと少し寂しい気がしました。そんな思いをもっていると劇場内で「神戸六甲」と大きく書かれたポスターが目に飛び込んできました(写真3)。神戸の六甲の住人である私からみると「何ごとぞ」と思います。近づいてよくみるとアイスクリームの宣伝で牧場アイスクリームとありました。地元の六甲では、ついぞ見かけたことのない最中アイスです。周囲の地元の知人に聞いても誰も知りません。これから地元で気をつけて探してみたいと思うところです。

     

    今回、ある団体からメタボリックシンドローム(以下、メタボ)についての講演を依頼されました。毎日たくさんのメタボの方を診ており、馴染みのある疾病なので、すぐに応諾しました。まだ講演の日までには時間もあり、少しずつ資料集めやスライド・原稿作りをすればよいだろうと思っていました。ところが実際に準備にとり掛かると、これが少しばかり困難なことに気づきました。実地の臨床医にとってメタボの人はあまりにも多く出会い、分かり易い疾患と思っています。しかし、さていざ基本から一般の人に分かり易くメタボを説明することはかえって難解ということが分かったからです。簡単なことを上手く説明することは、かえって難しい、このことを再認識したというわけです。

    まずそこでメタボの語源を調べ、その基本な成り立ちについてあらためて検討してみました。1998年にWHO(世界保健機関)がメタボリック症候群についての診断基準を発表したのが、その最初といわれています。その後2005年になって日本肥満学会がメタボの基準値を発表し、さらに2008年に我が国で開始された特定健診がメタボ健診とも呼称されるようになったのです。そうなったので一気にメタボという名称が大勢の人に知られるようになりました。ここで疑問に思ったのですが(普段は考えないことなのですが)、メタボと成人病、また生活習慣病、これらはどこが異なるのかという疑問です。これはよく分かっているようでありますが、あまり注視されていないと思います。これを明らかにしようとして調べたところ、成人病とは戦後まもなく厚生省が使い始めた言葉であることが分かりました。厚生省、つまり国が主導したため、成人病という言葉は広まり各地に成人病センターという名称のついた医療機関も開設されました。しかし、その後成人病は低年齢の人にも発症すること、また生活習慣によって発症が左右されるという理由から生活習慣病と呼ばれるようになりました。因みに生活習慣病という各称は先日亡くなられた日野原重明先生が1978年に初めて命名されたものとされています。このようにメタボの語源をみると成り立ちが分かり、同時に生活習慣病(成人病)との違いが理解できます。医師もメタボと生活習慣病の違いには、普段はそれほど関心がないものです。そんなわけで今回の講演では、まずこの成り立ちについて紹介しようと考えています。そのあとにメタボと生活習慣病(成人病)の違いについて解説しよう、そうすれば皆様に理解していただけるのではと考えています。というわけで次にメタボと生活習慣病の定義について概略をお話し、両者の違いを詳しく検討してみましょう。

    メタボとは「肥満に高血糖、高血圧、脂質異常が複合している状態」、また生活習慣病とは「高血圧、糖尿病、脳卒中、心臓病、高脂血症などの生活習慣が発症原因に関与している疾患の総称」という定義であります。つまりメタボとは病名でなく、肥満に複数の病態が複合した状態を意味しているのであります。これに対し生活習慣病とは疾患の状態なのであります(表1)。これが両者の基本的な違いでありますが、正直(私自身も)分かった様な、分からない様な状態です。メタボは内臓肥満があって、疾病が複合的におこっている病態、生活習慣病は生活習慣が関与した疾患という理解で良いように思います。私が思うに同じ疾患について分析と評価を変えて捉えているだけであり、それほど問題にしなくてもよいでしょう。ただあくまでも基本的な考え方は知っておく必要があると思います。

    次は今日のテーマであるメタボの診断基準についてです。それは図1に示した通りです。図1の上にあるように先ず内臓肥満の評価をするために腹囲が測定されます。これは腹囲の測定で内蔵肥満が評価出来るからであります(因みに内蔵肥満を正しく評価するのにはCT検査が必要となります)。腹囲測定の結果、男性で85cm以上、女性で90cm以上では内臓肥満面積が100以上あり、肥満と判断されます。次に図1の下にある次の3項目をみて評価します。

    ①空腹時血糖が110以上

    ②血圧が130以上かつ/または85以上

    ③150以上の高トリグリセライド血糖かつ/または40未満の低HDLコレステロール

    これら3項目のうち、いずれか2項目以上あるとメタボであると診断されます。なお①から③の3項目のうち、いずれか一つだけの項目がある場合はメタボ予備軍と診断されます。また腹囲測定だけが男性85cm以上、女性90cm以上であるものの、①から③のがすべてない場合は肥満と診断されます。つまりメタボではないことになります。なお図1は大塚製薬のホームページからの引用ですが、大変分かり易いので利用させていただきました。

     ここで今回、最も注目したことは腹囲測定の方法についてです。もちろん約10年前特定健診が開始されるにあたり、腹囲測定の方法についてオリエンテーションを受けました。しかし10年経過した今、改めて細かいノウハウがあったことを思い出しました(図2)。それはリラックスしてもらって立位で測定すること、息を吐き出したあとに臍の周囲で測定するということです(できれば測定は、自分ではなく他人にしてもらう)。また太っていてもお腹が前に大きく隆起している人では、臍の高さで腹囲測定をすることは適切ではありません。この場合は肋骨の一番下と骨盤腸骨陵の中間点で測定する必要があります。このように、なかなか腹囲測定も奥が深いものです。

    ではメタボの人はどのぐらいいるのでしょうか。これについては厚生省が調査した結果があります(図3)。これは男性での結果ですが、メタボは27.2%、メタボ予備軍は24.3%であり、両者を合わせると半分近くがメタボに関与しているというものでした。つまりメタボの人は1/4以上もいるということであり、大問題であるといわざるを得ません。さらにメタボは40才台から急に増加し、高齢になってもそれほど減少がみられないことに注意をする必要があります。また最近の研究によると40才台の単身の人では既婚の人に比べてメタボの人が多いことがわかっています。

    というわけで今回、外来診療ではメタボ対策を十分にする必要をいまさらながら再認識したところです。これからはメタボの人と一緒になって十分な生活改善をはじめとする対応をしていきたいと強く感じました。また思えば講演を引き受けるということは、自分自身の勉強をすることに他ならないことも再認識したところです。

     

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    写真1 薄化粧した六甲の山並みと青い空

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    写真2 港内に佇む潜水艦

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    写真3 神戸六甲の最中あいすポスター

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    表1 メタボと生活習慣病の違い

        今回の講演に際して作成したスライド

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    図1 大塚製薬のHPからの引用

    http://www.otsuka.co.jp/metabollic-syndrome/02_05.html

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    図2 有機ゲルマニウムの専門店ガウスのHP

    http://www.germa100.com/2008/10/post_36.html

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    図3 メタボリックシンドローム該当者・予備群の状況

    厚生労働省のHP

    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/06.html

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