少し気になること

078-861-0806

トピックス

topics

初診予約はこちら

少し気になること

  • 2017.11.23

    もうあと少しで師走がやってきます。街にも何となく慌ただしいムードが漂ってきました。近くの公園の樹木の葉も随分と黄色くなり(写真1)、その葉が多く下に舞い落ち一角に吹き寄せられています。忍び寄る冬をうかがわせる季節となってきました。木の葉の散り方から何となく落ち着かない気分になる今日この頃です。少しずつ今年も押し迫ってきたことを実感するというわけです。

     

    このような気ぜわしい時期に少し気になる医学ニュースを3つ目にしました。それは

    「小児科待合室のぬいぐるみは触らない」

    「アセトアミノフェン(解熱剤)が不足している」

    「インフルエンザワクチンが不足している」というものです。順次、これを紹介してみます。

    まず小児科待合室のぬいぐるみについてです。ぬいぐるみは本当に可愛いもので当院でも待合室に置いています(写真2)。診察を待っている子どもさんが喜んで手にしている光景をいつも眺めています。しかし本年10月に米国小児科学会が「ぬいぐるみは清潔に保つことが難しいため望ましくない」という声明文を出しました(Pediatrics. 2017 Oct 23; pii: e20172857)。米国小児科学会によると患者さんは自宅からおもちゃ、絵本を持参することが望ましいとしています。医療機関に対しては、おもちゃ(ぬいぐるみではない)も毎日石鹸で洗って消毒・乾燥することを推奨しています。正直、これは少し厳しいという印象を受けます。当院では出来るだけアルコールの噴霧消毒もしています。それでも限界があると思います。そこで小児科医療機関としでは、考え方を改め改善策をとることが必要であります。ぬいぐるみは飾りとし、手が触れられないようにすること、完全な消毒がし易いプラスチック製の玩具を採りいれるようにすることなどしていきたいと考えています、

    次はアセトアミノフェンです。アセトアミノフェンは最も安全性の高い解熱剤として認められており、世界中で広く処方されています。このアセトアミノフェンの原薬製造にあたり、医薬品医療機器法違反が6月に発覚しました。そのためアセトアミノフェンの供給への影響が懸念され、解熱剤の供給不足が心配されました。幸い、現実に供給不足は今までのところおこっていません。しかし、もしアセトアミノフェン供給が本格的に不足すれば小児科領域はもちろん大きな問題が臨床現場で生じると考えられます。製造会社には十分な倫理観をもっていただきたいものです。

    最後にインフルエンザの予防接種についてです。御存知の方もおられることと思いますが、今年はインフルエンザワクチンの供給が不足しています。11月6日の厚生省の事務連絡通知によると図1に示されるように供給予定量を常に需要予測量を上回っているとされています。しかし現実にはワクチン不足がまことに深刻となっています。特に11月の中頃から流通量が減少しており、当院はもちろん周辺の多くの医療機関においてワクチン不足が現在おこっています。不足となった原因は含まれている抗原のうちひとつを新しいものにしたからなのですが、これをうまく増やせなかったためです。その結果、生産が追いつかない状況になっているのです。厚生省はワクチン不足に対し13才以上の人では例年なら「1回ないし2回目」という接種回数を1回とするように広報しています。しかし一般の人の立場にたってみると例年のように2回目接種を受けに行ったところ、ワクチンがないために受けられなかったという現実に直面することになります。さらに1回目を受けた医療機関でワクチン不足のため2回目を受けられないこと、そこで1回目とは異なる他の医療機関で受けようとすると1回目の料金が発生する事態、つまり金額が高くなることがおこっているようです。これは困った現実であります。ここ数日の外来受付は、インフルエンザワクチンがないことの説明に追われています。また電話の半分以上がワクチンの在庫を問い合わせるものです。これは、もう異常としか言いようがなく、診療所の受付業務がパニック状態となっております。1日も早い正常な供給になることを願うばかりです。

    なお厚生省は「多くの市町村でご検討いただいていることとは思いますが、各医師会等と相談の上で平成30 年1月以降についても費用助成期間とするよう依頼する等、定期接種によるワクチンの接種を希望される方が1月以降も適切に接種できるよう、十分な配慮をお願いします」という文章を出しています。これは供給不足のため2月以降になって受けた人に対しても、市町村の助成期間延期を厚生省がお願いしているわけです。

     

    以上3つの気になるニュースを呈示しました。ところが、またひとつ気になるニュースに接しました。それは食中毒についてです。厚生労働省の発表によりますと平成29年における11月までの食中毒発生は611件あります。昨年も、ほぼ同じ発症数でありました。食中毒の原因にはウイルス、細菌、そして寄生虫の3種があり、本発表はたいへん興味深い内容となっています

    (http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)。ただ私のような診療所では食中毒の患者さんを診る機会はあまりありません。診療所では診るほとんどの人は、各個人に発症した単発的な感染症胃腸炎であります。とはいえ、時に食中毒の患者さんが来院されることもあり、気が抜けないこととなります。ただ感染症胃腸炎は原因が何であれ、症状も対処法も概ね基本的に同じなのであります。そのため全身状態の良い人では従来は原因菌体までは余り意識していませんでした。

    しかし感染症胃腸炎を発症している人の便を迅速検査法で検査したところノロウイルスが時に検出されることを私の診療所でも時々あります。昔は簡単にノロウイルスを診断する迅速キットがなかったのですが、最近は外来において簡便に短時間で結果が得られる検査キットがあるのです。食品関係の仕事の方は、この迅速検査での検査を望まれることがあります。正直、それほど症状が強くない人においても検査で陽性という結果が出ることがあります。これはノロウイルスによる自覚症状は軽い人から重い人まで幅広いため、一見、ノロ胃腸炎とみえない軽症の人でも検査が陽性に出るというわけであります。それにしてもノロウイルスは感染力が強く、胃腸炎患者さんにおいてノロウイルスの検出率はトップを占めています(図2)。

    さらにまた図2を見ていただくと分かりますように通常ノロウイルスは冬に多いとされてきましたが、今年は春先からずっと検出されています。つまりノロは冬の病気と思っていたのは妥当ではなく、季節に関係ない疾患かもしれないということです。

    このようにノロウイルスは、少し手ごわいのです。そのため「ノロウイルス食中毒予防強化期間」というものが設けられていることを御存知でしょうか。これは公益社団法人日本食品衛生協会が決めたものです(図3)。同協会では食品等事業者や消費者に対しノロウイルスの啓発をするため、ノロウイルスの感染が多くなる11 月から1月までの間を予防強化期間としています。厚生省、文部科学省をはじめ多くの団体が後援をしているのです。ノロウイルスには予防接種、根本療法はありません。そのため誰もが日ごろから注意していくことが大切です。

    171122.1

    写真1 公園の色づいた木々の葉

    171122.2

    写真2 受付のぬいぐるみ

    171122.3

    図1 2017/18シーズンにおける累積供給予定量見込み/医療機関需要予測

    【平成29年10月現在】 厚生省のHPからの引用

     http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000183652.pdf

    171122.7

    図2 ウイルス性胃腸炎の検出率の推移

    https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/noro/160920/noro1_171108.gif

    国立感染症研究所のホームページからの引用

     

    171122.5

    図3 公益社団法人日本食品衛生協会のHPから引用させていただきました

    http://www.n-shokuei.jp/topics/nv_yobou/

     

     

     

     

pagetop