芸術と台風の秋

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芸術と台風の秋

  • 2017.10.31

     いい時候となりました。何をするにしても最適の季節でしょうか。街を歩きましても程よく感じる風が吹いております。もっとも朝夕は冷え、木枯らし一番の便りも聞かれました。そして芸術の秋です。 8代目・笑福亭松喬さんの襲名興行に行ってきました(写真1)。大阪の松竹座を皮切りに来年の春まで全国で襲名披露するとのことです。やはり襲名興行というものは独特の華やかさがあり、誠に良いものであります。

     さて芸術に触れたあとは台風の来襲です。台風21号が荒々しく猛威をもって日本列島を縦断していきました。21号が過ぎたと思ったら、今度は22号がやってきました。この2週間は週末ごとに台風に向き合ったわけです。これまでも台風は幾つも迎えましたが、台風21号は久し振りに大変な雨風でした。いつもは少し家の中でじっと身を潜めていると何とか、台風は過ぎ去っていってくれました。しかし今回は高をくくって準備を十分にしていなかったこともあり、少々怖い思いをすることになりました。その日は衆議院総選挙ならびに神戸市長選挙が重なり、投票所にいくのも強い雨風で一苦労でした。投票に来ていた市民の方々も強い雨風のため、会場出入口付近で足が止まる人が多数おられました。またその夜、ほんの2~3分間ばかりですが停電がありました。たまたま停電した時、先日東京の講習会で学んだ医療管理の復習をしながら、安全管理について色々なことを検討していました。偶然にも予防接種ワクチンの冷蔵庫での保存についての対応、とりわけ停電時における冷蔵庫保存を考えていたところでした。停電時間が長くなった時に備え、ペットボトルの水を一緒に冷蔵庫に入れておくことが望まれるということを書物で知りました。こうしておけば停電となっても何の備えもない時より冷蔵庫内の低温が少しでも長く保たれるとのことです。幸い今回は、ほんの2~3分の停電でしたので冷蔵庫の温度計はもちろん全く低下を示しませんでした。現代社会は少しでも停電があれば、全くお手上げ状態になること、普段からいざという時の心構え・準備をしておく大切さを再認識したところです。明くる朝、近くの公園にいくと木々が折れて大変な状況になっていました(写真2)。

     

     さ今回は川崎病について勉強をしてみました。

     川崎病とは1967年に川崎富作という小児科医師が世界で初めて報告した疾患であります。名前が覚えやすいので多くの人が知っている病気です。川崎病は略してMCLS(Mucocutaneous Lymph Node Syndrome、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)と外国では呼ばれています。川崎病は乳幼児に多い病気で予後は比較的良好なのですが、心臓に後遺症を残す恐れがあります。これが最も注意すべき点であります。正直なところ、川崎病は一般の小児科外来では比較的よく出会う疾患です。したがって常に注意を払って対処する必要があります。

     川崎病は主に6ヶ月から1才の乳幼児がかかる全身の血管炎症候群であります。川崎病はアジア人に多く(従って日本時に多い)、欧米で少ないとされています。季節としては夏から秋に多くなる傾向があります。つまり今の季節に多いのです。日本川崎病研究センターは2年に1度川崎病患者さんの発症数を報告しており、これによりますと1990年頃から川崎病は増加をしています。そして2015年には初めて1万6千人を越え、2016年にはやや減少したものの、やはり現在も患者数が多いというのが現状です(図1)。残念なことに2015年と2016年で各1例ずつ死亡さらた方がありました。男児に多く、再発率は2-3%とされています。お母さんの中には「以前に一度、罹りました」と言われることがありますが、再発がある疾患なのです。

     原因については、まだよく分かっていません。ただ感染などが引き金となり全身の血管炎が続発するのではないかと考えられています。最も問題となることは、はじめにもお話した通り心臓の冠動脈血管に炎症が波及し動脈瘤が発症することであります。動脈瘤は発症後1-3週間ぐらいで認められ、まれに心筋梗塞を起こすこともあります。

     診断については厚生労働省川崎病研究班が作成した診断の手引きが参考になります。これには主要症状(表1)と参考条項があります。4歳未満で発熱が持続するときは、常に川崎病を念頭に入れる必要があります。ただ小児科外来を訪れる発熱の子どもさんは大変多く、すぐには川崎病の診断が確定するものではありません。また厄介なことに主要症状が典型的に出現しない例、いわゆる不全型といわれる患者さんが20%程度ほどあるのです。さらに困ったことに不全型であったとしても動脈瘤が発症するリスクは同様であるという点です。そのため乳児で抗生剤に反応しない発熱があるとき、BCG接種後1年以内の接種部の再発赤などには注意を払うべきであります。

     治療は急性期においてはアスピリン療法、ガンマーグロブリン療法があり、診療所ではなく主に入院により実施されます。ただ、ガンマグロブリン療法を実施しても病状が軽快しないことがあり、その治療についての結論は出ておりません。次に慢性期では心エコー検査や心臓カテーテル検査が行われます。心臓の検査が異常なければ、過度の心配はありません。

     

     私などの小診療所では、とにかく川崎病の早期診断をすることに心がけて常に発熱の子どもさんに対応しております。

     

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    写真1 華やかな襲名興行

     

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    写真2 台風で折れた桜の木々

     

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    図1 川崎病の患者数と罹患率

       中日新聞メディカルサイトから引用させていただきました

       http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20171003131715281

     

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    表1 厚生労働省川崎病研究班が作成した診断の手引き、主要症状は1から6まである

       http://www.jskd.jp/info/pdf/tebiki.pdf

     

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