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運動の秋

[2018.10.30]

 運動をするのには絶好の季節となりました。私自身は自分の運動能力を考え、毎日ウォーキングをしています。毎日平均7000~8000歩ぐらい(距離で5㎞強)を歩いています。厳寒・厳暑の季節は運動の環境条件が厳しくなるものです。寒冷時には手足の極端な冷え、また猛暑時には大量の汗に悩まされることになります。そんな時には百貨店の店内を1階から最上階まで歩いたりしています。(少々怪しい人間になりますが)また長い地下道を歩いて厳しい環境を避けるなどの工夫を凝らしています。そこへくると10月から11月という秋の時節は、ウォーキングには本当に最適な時節です。そんなわけで毎日、時間の許す限りウォーキングに励んでいます。

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 このように毎日、神戸の街を歩いていますと時に「楽しいと感じること」があります。そのひとつに徳川道という歴史を感じさせてくれる道を歩く楽しみがあります。神戸以外の人には徳川道といってもあまり馴染みがないのかもしれません。そこで徳川道について少しばかり紹介したいと思います。

 徳川道、これは神戸という街の中に残った歴史的に興味のある街道といえます。徳川道は小さな道ですが、少しばかり個性的な存在を主張しています。神戸で育った私は幼少期からよく名前を耳にした道です。昔から、ふと気づけば「あぁ、今ここは徳川道を歩いているなぁ」と感傷的な気分となったものです。それは徳川道が現代の道の中に少し不釣り合いな形で混在し残っているからです。そのため何となく違和感とともに歴史が感じとれるからです。

 まず徳川道の由来です。慶応3年(1867年)、神戸は開港を迎えました。徳川幕府は外国人と大名行列の衝突を回避するため、外国人が多く滞在している神戸港付近に大名行列が近づかない様にと考えました。そこで神戸の中心部を通らない北側を大きく迂回する徳川道を設けることにしたのです。起点は御影(現在の御影公開堂の南側)とし、石屋川、六甲、摩耶山を越えて鈴蘭台、白川へと続き、終点は大蔵谷(現在の明石市大蔵谷)です(図1)。全長は約33㎞あり、建設費用は3万6189両に上ったとのことです。着工わずか1ヶ月の突貫工事で徳川道は1867年の12月7日に完成しました。ところが、徳川道が完成した翌年の1868年(慶応4年)に江戸幕府が倒れ、明治政府が成立しました。すると同時に徳川道も8月13日で廃道となってしまうのです。このように徳川道は幕府直轄の道として生まれたのにもかかわらず、完成して1年も経たないうちに捨てられることになったのです。あまり日が当たらず、消えたのです。その徳川道が現在、神戸市内のあちこちに偲影を残しているのです。今ではいわば神戸市民には憩いの小道ともなっています。今、徳川道の跡をたどり、あちこちに残っている少しばかり不思議な道に接すると歴史を感じることがあります。私自身も徳川道を歩きながら、いつも心を和ましているところです。

 

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図1 大きく神戸のみ外国人居留地を北に迂回する徳川道

明石市立図書館 明石郷土の記録 デジタル版より引用

https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11E0/WJJS06U/2820305100/2820305100100110/ht200070

 慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:以下、CFS)という病名を聞いたことがありますでしょうか?耳慣れない病名であり、医師であっても馴染みの少ない疾患です。先日、偶然にみたネット上のCFS患者さんに関する記事*https://news.yahoo.co.jp/pickup/6300565を読む機会がありました。その記事にはCFS患者さんが診断の遅れ、社会の理解不足、さらには有効な治療がないために大変な思いをされていることが紹介されていました。そんなわけでCFSについて今回少し勉強してみました。

 まずCFSの病態です。大阪市立大学の倉垣先生によると「健康に生活していた人が風邪などに罹患したことがきっかけとなり、それ以降原因不明の強い全身倦怠感、微熱、頭痛、筋肉痛、精神・神経症状等が長期に続いて健全な生活が送れなくなる」というものであります。米国の疾病対策センターによって1988年に提唱された新しい疾病概念です。単なる慢性疲労とはCFSは全く異なり、CFSは長期間に渡って患者さんの厳しい症状は続く疾患なのです。

 一方、昔からイギリスでは筋痛性脳脊髄炎(Myalgic Encephalomyelitis:以下、ME)という概念が医療文献に記されており、これは1988年に米国で認定されたCFSと同じ疾病概念であります。つまりCSFが米国の疾病対策センターによって提唱された1988年、イギリス衛生省・英国医療協会も同時にMEを認定したわけです。つまり同一概念の疾患なのですが、イギリス・カナダ等ではMEという呼称、米国ではCFSという呼称が使われる傾向があるわけです。そして現在、両者を一緒にしてME/CFSと表現することが多くなっています。さらに2015年になって米国医療研究所は「ME/CFSを全身性労作不耐症(systemic exertion:以下、SEID)とし、患者の健康や活動に深刻な制限をもたらす全身性の重篤な慢性の複雑な疾患」としました。現在では一般にSEIDはME/CFSと表現されています。このように疾患における名称の成り立ちの経過は少し分かりにくいと言えるでしょう。ここの基本的な理解が乏しいと、いきなり病名からして混乱することになってしまいます。

 ME/CFSの原因は色々と考えられていますが、まだはっきりとしたことは不明であります。これまでウイルス感染症説、内分泌異常、免疫異常、代謝異常、自律神経失調症などが考えられてきました。なかでも近年では免疫異常説が有力視されており、少しずつ解明が進んでいるところです。今後の研究の進展が期待されるところです。

 ME / CFSの症状と診断についてです。まず症状について分かり易い解説はないかを調べたところ、それが神戸市のホームページにありました(表1)。ここにCFS/MEの症状が分かり易く解説されています。これら疾患をみて思い当たることがあれば、一度専門医を受診することを考えてもよいでしょう。要はME/CFSは単なる慢性疲労とは全く異なることが、本解説からも理解できます。ME/CFSの患者さんは本人が本当に苦しいのはもちろんのこと、周囲の人には怠け者と言われ、就業不能にもなる可能性があります。そのため症状がさらに悪化するのが現状です。次に診断基準ですが「慢性疲労症候群の病因病態の解明と画期的診断・治療法の開発」研究班によって2015年に公表されています。大変長文なので以下に詳細が提示されているので参照してください。それにしても現状としてはME/CFS患者さんが正しく診断されていないものと推測されます。

 https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/index.html

 次にME/CFSの患者さんはどのぐらいいるのでしょうか?日本の治療ガイドラインによると約30万人(8~24万人との説もあります)とのことです。またME/CFのS平均発症年齢は32歳とされており、いわば働き盛りの人に多いことが大きな問題です。このうち1/4の人は治療を受けていても日常生活において常に介護が必要とされています。ただ問題は公的なME/CFSの治療ガイドラインが、まだないことであります。今後は小児を含む全てのME/CFS患者さんを対象とし、プライマリーケア医はもとより専門医の診療においても利用できる治療ガイドラインが必要とされています。

 治療は抗うつ薬、ステロイド、抗ウイルス薬、また漢方薬などが用いられています。しかし、いずれも決定的な有効性のある薬剤はないのが現状です。加えてME/CFSを診断治療にあたる医師が少ないことも大きな問題であります。ME/CFSの専門病院を探すことも困難であることが現状なのです。

 それでも現在、少しずつME/CFSについて一般の人々に周知がなされています。例えば5月10日をME/CFS世界啓発デーとし、各地で催しがもたれました。神戸市でもポートタワーなどでライトアップが実施されました(表2)。今後はME/CFSについて誰もが関心をもつことが必要です。またCFS支援ネットワーク(https://cfs-sprt-net.jimdo.com/)という支援団体もあり、様々な支援活動もなされているところです。

 それにしてもME/CFSについては医療関係者だけでなく、社会全体が広く関心をもつことが大切と思います。思い当たる症状があれば、一度医師や支援団体に相談することもよいと思います。今回、私もME/CFSについて学んでみましたが、正直なところ初学者であると自分自身で痛切感じました。今後もME/CFSについて引き続き研鑽を深めたいと思っています。

 

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表1 ME/CFSの症状  神戸市HPからの引用

http://www.city.kobe.lg.jp/life/health/promotion/adult/cfs.html

 

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表2 CFS支援ネットワークのHPからの引用

https://cfs-sprt-net.jimdo.com/

 

 

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